ファームノートサミット2015 WinterとColorの発表
12月12日に帯広で「ファームノートサミット2015 Winter」を開催しました。
当日は申し込みで440名、来場者410名と非常に多くの方にご来場いただきました。1企業の単独イベントとしては北海道では最大級ではないでしょうか?
イベントの詳細はこちらをご覧ください。
ファームノートサミット2015 Winter 〜What is Color?〜
このイベントは北海道最大級の農業ITカンファレンスを目指しており、今回で5回目です。今年は特に登壇者を考えるのに苦労しまして、最終的にはとても内容が濃いディスカッションができたのではないかと思います。
実は今回のサミットで一番意識したのが「挑戦」というのがメインテーマでしたが、+4つのテーマがありました。その5つのテーマを当日のサミットの内容と一緒に振り返ってみます。
1. 産業
成熟した産業は、構造が壊れづらいという現状がありますが、UberやAirBnBのように風穴をあけることは十分可能です。農業だから、農家だから、十勝だから、というような枕詞で変化が行わないと、その産業がより固定化され活性化されない一つの要因になってしまいます。サミットではこの超成熟産業に新しいチャレンジをしている方、農業でも新しいチャレンジをしている方に登壇してもらい、他産業のチャレンジはどんどん進んでいるんだということをお話ししたかった。
ファクトリエ山田さんはアパレルの革新を目指しているし、ソラコム玉川さんは産業全体の効率化が革新するビジネスモデル。テラスマイル生駒さんや私たちも農業の革新に貢献したいし、ユーグレナ出雲さんはミドリムシで世界を変えると。固定化された産業でも可能性はある、そういう強いメッセージを出したかった。これはディスカッションの一部の写真ですが、産業をどう捉えてどう変えていくか、とても熱いメッセージが飛び交いました。
2. ブランド
ブランドは重要だとよく言われますが、徹底的にブランドを意識して行動するということはできている人は少ないと思います。ファームノートは1にも2にもブランドを大切にしています。
会場をご覧下さい。会場はサイバーな雰囲気、決して農業向けとは思えないデザインにしました。革新的な雰囲気とファームノートのロゴが合わさることで、私たち自身が革新的なイメージになれるわけです。
さらに今回はお客様のバナーを大量に作りました。実際に使っている現場を想定させるような、これもアンバサダーの皆様と共に歩んでいるということを強調したかった。それは私たち自身がこのような素晴らしいお客様と一緒に歩んでいるんだということに誇りを持っていることを伝えたかったのです。
これはなぜそこまでやっているかというと、農業は格好悪いものに溢れていると思います。
製品名に「なんとか君」とか、農業はこれから強くならなければならないのに、決して誇りに思えないようなものに溢れています。そして綺麗な見た目のものは人が使おうと思う動機になります。
誇りは、強い産業を生むための第1条件。どんな仕事だって誇りを持って仕事をするでしょう。これが格好悪いものに囲まれ、格好悪いのが当たり前になると、これから農業を継ぐ若い方々が誇りを持ちづらくなる。自分の仕事に誇りを持てるように、かっこいい業界イメージになるように、まず私たちから提案していきます。
3. 色
本日プレスリリースをしましたが、人工知能を活用した牛のウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を発表しました。Colorは牛の状態を人工知能が解析し、発情だけでなくFarmnoteに保存されているデータと合わせて様々な状態を推測してスマートデバイスに伝えます。
牛の最適管理をクラウドと人工知能で実現するウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を発表
Colorは2つの意味を持ちます。
一つは首に取り付けるのでカラー(collar)、二つ目は牛の命を色と例え(特色)その特色を人工知能が把握するというカラー(color)と言う意味です。ブランドの話につながりますが、日常の中で製品名を連呼してもらえればブランドによりつながる(カラーは覚えやすいし、首輪もカラーなので違和感がない)のではないかと思います。
イベントのサブタイトルは「What is Color?」です。
これは私が考えたのですが、ColorのCが大文字ということは名詞を表しています。そしてその頭にTheがないということは、この製品が世界的に愛されるように(iPhoneにTheをつけないように)ブランドを広め固有名詞になれるだけの製品になるという決意表明です。
そう考えるとWhat is Color?はFarmnote Colorってなに?という意味になります。これから革新的な企業になろうとしている会社がダサいイメージではダメです。Farmnoteのロゴをお願いした阿部 岳さんにアバンギャルドな牛の絵を描いてもらいました。どうでしょう?農業のイメージが変わる気がしませんか?
4. 人工知能
Farmnoteはこれから自動的にデータを収集し、いろんな団体や他者ソフトウェアですら統合します。お客様は普段使い慣れたソフトウェアでも良いし、どんなデータだって良い。私たちの強みはデータを統合し、データを見えるようにしてどこでも共有し、AIで最適な対策を提案すること。誰もが同じ品質で生産できるようにする。いわば農業版インダストリー4.0を目指すと言うことを宣言しました。
これから大量のデータから価値を見出すことは当たり前になるのは周知の事実。しかし農業ではデータが分断され、ただでさえ高度な技術が要求されるのに農家にとても高いレベルの技術を強いられる。それをAIを使って解決していこうという提案です。これから身近にAIが活用されるということを強調したかった。
これに賛同いただける方は是非私たちと一緒に開発を進めさせてください。
5. 挑戦
そしてメインテーマ「挑戦」です。
ユーグレナの出雲さんが「成功確率が1%だとしても、459回チャレンジすれば99%成功する」とのメッセージをくれました。ベンチャーの立ち上げに戦略とか計画なんて関係ない。そんな綺麗なものじゃない。トライしまくって初めて結果がわかると。農家とか条件は関係ない、変化するかしないかだけであろうと。しかし人間は習慣な生き物(変化を減らしたくなるのは本能)なので、その本能の中からどうやって諦めずに挑戦するか、少しの行動を変えることで心も変わると。
まずやってみなければ答えはわかりません。私たちも帯広から日本の農業を支えたいと強く思っていますが、人間のプラットフォームである食を支える企業として、いますぐ収益をどうするかなんて考えていません。
農業ITは儲からないと皆さん口を揃えて言いますが、どれだけ世の中を変えたい強い気持ちがあり、どれだけトライしているかと。計画も何も関係ないと。ユーザーに正しいことだけをコツコツやって生き延びて、最後に私たちが残っていれば必ず成功しているだろうと。成功するまで続けないから成功しないだけであろうと。そう強く思って事業にあたっています。
ファームノートサミットは一企業で賄うようなものではないですが、このサミット自体が私たち自身の挑戦です。
農業の革新だけでなく、地域の活性化も含めて考えています。十勝からどんどん人口が減り、産業が衰退しているというのは、今まで誰かが行った対策はすべて焼け石に水だということじゃないですか。その中で大きな活性化を実現するには定期的にこのような大きなイベントを行ったり、私達のように産業に立ち向かうベンチャーがより生まれてくるように、そして自分たちの仕事に誇りを持てるような、そんなプラットフォームが必要ではないでしょうか。
私たちなりに、今の農業や地方に対して感じている問題点をサミットを通して伝えたかった。賛同する人を増やして実際に農業や地方を変える原動力が作れないか。そういう思いでサミットを行っています。
このサミットがそんなイベントに成長するように、これからも継続していきたいです。
ご来場いただきましたお客様、ありがとうございました。
また来年も楽しみにしていてください。